開館10周年・川越市市制施行90周年を記念し、川越にゆかりの深い近世絵画の数々の名品を一堂に公開する「小江戸川越江戸絵画 職人尽絵と三十六歌仙額」を開催いたします。
川越の隆盛は近世にひとつの頂点を迎えたといっても良いでしょう。江戸城北辺の守りとして重視された川越は、親藩・譜代といった有力な大名の支配のもと整備が進められました。平安初期の建立と伝えられる無量寿寺の北院にはのちに家康に重用される天海が入り、寺の再興に尽力して喜多院と名称を改めます。家康の没後、喜多院領内にはその御霊を祀った東照社(現在の仙波東照宮)が勧請されました。
そうした時代は、川越に近世絵画の名品をもたらしました。特に重要文化財、狩野吉信《職人尽絵》(喜多院蔵)と岩佐又兵衛《三十六歌仙額》(仙波東照宮蔵)は、近世美術史上の優品として名高い作品です。
このたびは、上記2作品を中心に、伝狩野探幽《鷹絵額》(県指定文化財、仙波東照宮蔵)をはじめとする同時代作品を紹介し、川越が育んできた近世絵画の魅力に迫ります。郷土に伝わった宝物の素晴らしさを、心ゆくまでご堪能ください。