室町時代、世阿弥により大成された日本の伝統芸術である能は、近年ユネスコにより世界遺産に指定されました。平成14年幕開けは新年にふさわしく、幽玄かつ華やかな能の美術を展観いたします。源氏や平家物語を題材にした能舞台では、能面は演者の動きによって喜怒哀楽を表現する生きた彫刻ともいえます。また、能装束は、女役が身につける華麗な唐織や、薄く軽やかな舞衣、男役の装束である大胆な構図の厚板など、織物技術の粋を生かした能舞台の華といえるでしょう。今回は、桃山・江戸時代の能面、能装束に加え、当時の女性の日常生活を彩った小袖も併せて展観し、近世の衣装と能面の美を御紹介いたします。