彫刻の森美術館では、鉄の彫刻家、鈴木久雄の個展を開催します。
鈴木久雄は1946年に静岡県で生まれ、武蔵野美術大学造形学部美術学科彫刻専攻卒業。現在は同大学造形学部教授を務めています。当館主催の彫刻コンクールでは1980年代に3度入賞し、3点の野外作品が姉妹館・美ヶ原高原美術館に展示されています。活動の前半は石彫を手がけ、その後、鉄に転向しました。以来、鉄やステンレス鋼の小片を鍛造し、無数のパーツを一つずつ溶接してつなぎ合わせるという根気のいる制作を、30余年続けています。時流にとらわれることなく、彫刻の本質と向き合ってきたことが評価され、2007年には中原悌二郎賞を受賞しました。
本展では、鈴木が近年取り組んでいる長大な「距離」シリーズを中心に、「木の現象」シリーズを含む12点の彫刻で構成します。会場となる本館ギャラリーは、彫刻家であった故・井上武吉の設計による建築で、陰影の異なる3つの部屋から成っています。その中で、空間の距離や広がりが生み出すダイナミズムと生成する木や葉の造形が、野外空間を取り込みながらどのような世界をもたらすか。彫刻と建築、自然との響き合いを体験していただきます。