ユニークとしての版画
「無限構築」は版画(銅板エッチング)の特性である複製性に敢えて立ち向かう形で発表される版画のシリーズである。作品は刷り出された版画とその銅版を組み合わせて額装される。この構造により、「無限構築」は版画でありながら強固な一点性を獲得している。
版画には誇らしく1/1のサインが書き込まれている。一方銅版は、本来ならば多数枚刷った場合でも版の疲労が起きないように施されるクロームメッキがなされ、レリーフの様な美しさを醸し出している。それらを収める独特の「眼鏡額」の楽しさもこの作品の魅力を引き出している。
渕沢は版画のもつ複製性ではなく、銅板エッチングによって得られる精緻な線の魅力にこそむしろ言及している。以下のステートメントにある、封印されていたイメージの開放と同様に、構造的な発想と言ったものが、この「無限構築」シリーズの様式を生み出したのであろう。
レントゲンヴェルケ
代表取締役 池内務