こけしは江戸時代後期に東北で生まれ、現代まで育まれてきた大切な郷土の宝物というべき民芸品です。親から子へ、また師から弟子へとその技術、型、そして精神が受け継がれながら、作り続けられています。
亀井昭伍氏(当財団理事、カメイ株式会社・相談役)がこけしに魅かれて収集を続け五十年以上になりますが、そのコレクションの中から明治、大正、昭和十年代に製作された作品を展示いたします。戦前のこけしは、一般に「古作こけし」と呼ばれていますが、現在まで受け継がれている伝統こけしの作家の二代、三代前にあたる人々の作品になります。
古作こけしを見ていると、その作者の生き抜いた時代の息吹、当時の東北の風土が垣間見れる思いがしますし、一口にこけしと言ってもそのバリエーションの幅は、大変広く、おのおのの個性が土地や時代にしっかりつながっていると思われます。
どうぞかつての日本、東北のこけし人形の世界をお楽しみ下さい。