越中は、「知られざる」豊臣秀吉ゆかりの地です。関白となった秀吉は天正13年(1585)8月、この地へ出陣し、佐々成政を降参させて富山城を破却しました。この勝利の後、秀吉は天下人への道を突き進んでいったのでした。富山は、秀吉天下統一の舞台でもあるのです。
秀吉はわずか一代で天下人にまで昇りつめた経歴から、江戸時代以降も人々の間で高い人気を誇りました。このため、秀吉を主人公とする挿絵入りの物語本や浮世絵が数多く版行され、それらの図像によって、現代にまで続く秀吉イメージが定着していきました。一方、秀吉が出した手紙など文献資料からは、天下統一を成し遂げていく実像をたどることができます。また、近年の発掘調査からは、秀吉による富山城破却の実熊の一端も見えてきました。
本展では、富山市所蔵品を中心とする、図像・文献・発掘の各資料、さらに新発見の史料も交え、天下人秀吉に迫ります。