茶入の仕覆や桐箱の包裂、掛軸の表装など、茶道具に用いられた裂類は、中世から近世にかけて舶来し、当時の茶人を魅了した珠玉のような染織品です。それらは中国の明やインドなどからもたらされた一級の織物、染物で、茶道具の箱に本体とともに大切に保存され、今日まで散逸せずに残ってきました。茶道の伝統がタイムカプセルの役目を果たし、その色彩や風合は当時の姿を残しています。今回は、通常表舞台に出ることのない様々な茶道具の裂や包裂、裂手鑑、掛軸の表装などを一堂に展観いたします。また名品展第五部「東山御物の茶道具」に出陳された大名物の松屋肩衝茶入(重要文化財)の仕覆の他、茶入の仕覆も今回はまとめて展示いたします。