1967年、松永壮は熊本県宇土市に生まれました。高校卒業後に独学でデザインの知識を得ると、ひたすら作品を描き続けコンテストへの応募を繰り返しました。20代前半から熊日デザイン賞グランプリを3回受賞するなど華々しい成果をあげ、27歳のときにはグラフィックデザイナーとして独立しました。その後、商業デザインの世界で活躍する一方、極めて個人的な動機に基づく純粋な美術表現の追究にも情熱を注いできました。純粋な美術と商業デザインの狭間での葛藤は、作家としてのブランクを生みましたが、その間に蓄積されたエネルギーは、今年4月から熊本県津奈木町で始まった住民参画型アートプロジェクト「TSUNAGIハート!アート!パラダイス!」への関与を経て新たな創造力へと昇華されています。松永にとって5年ぶりの個展となる本展では、両者に対する意識を改めて明確にしたうえで制作に臨んだ新作を中心に紹介します。