いま、そこから何か観えますか?
それは、どのように観えていますか?
当企画は、「風景」をテーマに“観る”という行為自体に着目し、私たちと世界との関わり合いについて再考を促すものです。
緑豊かな田園風景や高層ビルが立ち並ぶ都市の風景。家族団らんの風景や心の風景。様々な場面に使用される「風景」という言葉はいったい何を示しているのでしょうか。
例えば、皆さんが風景画を描くとき、「あの山からその山まで描こう」と構図を決めることで、描かれるものと描かれないものを選び出します。実は、私たちが普段、テレビや雑誌などで観ている「風景」も、このようにして誰かの手によって切り取られた世界の一場面であり、その切り取られた部分を、私たちは「風景」として認識しているのではないでしょうか。
ここでは、ベテラン作家の風景画から若手作家による「風景」を扱った現代アート作品、女子美術大学の学生による子どもの施設の提案や、多摩美術大学の研究チームによる見えない環境(放射線)に着目したデザインプランなどを通し、多様な「風景」の切り取り方を提示します。
それらの作品は、来場者が自身のものの見方や身のまわりの環境について、改めて考え直す機会を与えてくれることでしょう。