2012年は、「東の大観(たいかん)、西の栖鳳(せいほう)」と並び称された日本画家・竹内栖鳳(1864-1942)の没後70年にあたります。京都に生まれた栖鳳は、早くからその才能を開花させ、30代で京都画壇を代表する画家にのぼりつめました。栖鳳が描き出す、いきものや自然がみせる一瞬の姿を軽やかに捉えた作品は、今なお精彩に富み、新鮮な魅力を放っています。
パリ万博が開催された1900(明治33)年、ヨーロッパ遊学を果たした栖鳳は、渡欧先で西洋美術にじかに触れることで大きな刺激を受けました。帰国後、円山四条派の写生を軸にした画風に、西洋美術の要素をとり入れた新しい表現を生み出していきます。洗練された感性と優れた筆技によって動物、風景、人物と様々な主題を手掛け、日本画の近代化に積極的に取り組みました。
本展では、近代の京都画壇を牽引した栖鳳の画業を、《飼われたる猿と兎》、《絵になる最初》☆、《蹴合》☆、《班猫》、《若き家鴨》★など初期から最晩年までの傑作を通してたどります。
また、京都画壇の歴史的展開にも注目し、栖鳳の造形的源泉となった円山派の祖・円山応挙(おうきょ)をはじめとする江戸時代の作品を併せてご紹介いたします。さらに、栖鳳の指導を受けて活躍した上村松園(しょうえん)、西村五雲(ごうん)ら弟子たちの作品を通して、江戸から近代へといたる円山四条派のDNAの核心に迫ります。
※会期中、一部展示替えを行います
★前期展示(9/29~10/28) ☆後期展示(10/30~11/25) 無印は全期展示(9/29~11/25)