武蔵野美術大学 美術館・図書館は、1986年の「ドレスデン造形美術大学・武蔵野美術大学版画交換展」以来、これまでに世界各地の版画教育に焦点を当てた展覧会の開催を重ねてきました。そして、これらの展覧会を通じて、本学と海外の美術大学や美術アカデミーとの交流は一層深まっています。
このたび、その交流を更に発展させるべく共同教育プロジェクトの一環として展覧会を開催します。本展では、本学と海外の美術学校―アルバータ大学(カナダ)、シラパコーン大学(タイ)、テネシー大学ノックスビル校(アメリカ)、アントワープ王立美術アカデミー(ベルギー)―以上5校の教員および大学院生計50名が当プロジェクトのために新たに制作した作品を一堂に集めて展示します。さらに、本展と連動して制作される版画集は各校の教育現場において技法研究の資料として今後活用されます。
版画は、そもそも洋の東西を問わず古くから人々の生活に根ざした表現方法でした。各地域で培われた独自の表現を体感する一方で、グローバル化した現代における国境を越えた共通性も見出すことができ、版画という一つの表現の中で、それぞれの文化や価値観を感じることが出来ます。
本展のために制作された学生および教員の作品を一望することで、各校で展開されている版画教育の現在を知るだけでなく、世界の5つの地域で同時期に制作された多種多様な表現の中から、次の世代を担う学生たちの創造力と可能性を感じていただければ幸いです。