2002年 キリン・アート・アワード受賞した「Present Arms」以来、楽器、エフェクター、オーディオ・スピーカー、モーターサイクルといった量産された製品をモチーフに作品化することで知られる佐藤好彦。時に増幅させ、時に解体することで、経済成長を支えた工業製品がもつフォルムの美しさを佐藤独自の感性で蘇らせ、新たな命を吹き込む。
佐藤の目は今回は、飛行機のコクピットに惹きよせられた。機体を電子制御で支配するその有様を、私たちの取り巻く環境―例えば、エネルギー問題、経済的価値観に重ね作品化する。
佐藤好彦個展「SCHEMA」開催に向けて
図式、図表、概要、概略図を意味する単語「SCHEMA」をタイトルに、立体中心で作品を発表してきた佐藤好彦が平面的な表現に挑戦する。
佐藤が今回モチーフとしたのは航空機のコックピット。
大量の計器と無数のスイッチによって構成される、複雑にグラフィカルな曼陀羅を思わせるインターフェイスと、その背後にある電子機器のもつ精緻な機能を我々の住む都市空間になぞらえる。
この暗喩によって佐藤は普遍的な観点から、我々が無意識に享受していた様々な価値観と、無視してきてしまった問題に目を向けさせようと試みる。