この夏、あなたはほんもののSaburosukeと出会う。
〝裸婦〟佐賀県のみで公開。
近代洋画の大家岡田三郎助の最高傑作《裸婦》(昭和10年作、油彩画、縦99.8×横65.5cm)が、約70年ぶりに私たちの前にその姿を現します。
《裸婦》は、昭和10(1935)年10月、帝展の若手、中堅洋画家たちによる第二部会展(会場:東京府美術館)に賛助出品され、「婦人像の岡田」「裸婦の岡田」の名をはせる岡田の面目躍如たる傑作として紹介されました。その後、鍋島家とも縁戚になる李王家(李方子妃は鍋島直大侯の孫にあたる)の愛蔵品となり、旧李王家美術館で展示されましたが、昭和20(1945)年以降、作品のゆくえは杳として知れず、その発見が待ち望まれてきたものです。このたび機会を得て、長年言わばまぼろしともなっていた、この《裸婦》を特別公開することになりました。
《裸婦》は、岡田が66歳の時、すでに名実ともに大家としての名声を確立し、成熟の域に達した頃の作品で、緻密な色彩の重なりと流麗な筆遣いが際立ち、匂い立つような華やかさと品格を誇ります。まさに岡田芸術の極み―到達点というべきもので、同じ昭和時代の作《あやめの衣》(ポーラ美術館蔵)や《婦人半身像》(東京国立近代美術館蔵)と並ぶ傑作です。
さらに今回は、県立美術館コレクションの岡田三郎助作品(油彩画、パステル画、素描、版画等)の数々も展示し、岡田の偉大な足跡をあらためて御紹介します。
明治~昭和の三代に渡り、日本洋画壇の牽引者として独自の美を模索し続けた岡田の最高傑作が、時を超えてここ佐賀にやってきます。
今回の《裸婦》の展示は、限られた期間の特別公開です。この名画を直に鑑賞できるこの機会を皆様お見逃しなく。