タカ・イシイギャラリーでは、9月4日(火)から9月29日(土)まで、榎倉康二個展「記写」を開催いたします。本展では、1969年に開催された初めての個展「歩行儀式」以降、1989年までに国内外で行われた様々な展覧会に際して、榎倉が展示記録として残した写真作品約17点を資料写真とともに展示いたします。
榎倉は「歩行儀式」のようなインスタレーションや、平面・立体作品、そして写真など多様なメディアを用いて、人間や物、そしてそれらを取り巻く空間といかに関係を築いていくかというコンセプチュアルな作品を制作し続けました。それらは、政治・経済など多くの面で既存の価値観が問い直されていた1968年前後の時代背景とも呼応しながら、多くのアーティスト達が同様のコンセプチュアルな活動を展開していたことと軌を同じくしています。しかし、なかでも空間を美的に把握する能力に秀でていた榎倉の作品は、コンセプチュアルであると同時に作品として高い完成度を誇っています。
本展で展示される写真作品の多くは、自身の展示作品の記録として撮影されたものでありながら、写真としてユニークな作品世界を見せています。「第7回パリ青年ビエンナーレ」(1971年)に中平卓馬らと参加した榎倉は、自身も言及しているように、写真同人誌「プロヴォーク」からの影響も強く受けており、これらの記録写真は日常生活のなかで残されたスナップ写真とともに、榎倉の重要な作品として当時から評価されてきました。
なお、本展は東京パブリッシングハウスが9月3日(月)から9月28日(金)まで開催する「RAUM 2012 Revision with Photographs SPACE TOTSUKA 70」展(会場:横田茂ギャラリー)との共同企画展です。この展覧会は、1970年に榎倉康二、高山登、藤井博、羽生真によって開催された「SPACE TOTSUKA 70(水・壁・草・土・家・石・空・地・火・空気・水…)」展において、各作家が撮影した記録写真から構成されます。展覧会詳細については、東京パブリッシングハウスまでお問い合わせください。
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