フィンランドの森に住むトロール(妖精)の「ムーミン」は、画家・作家のトーヴェ・ヤンソンが生み出した童話シリーズの登場人物です。ムーミンが家族や友人と一緒に森で暮らし、厳しい自然環境の中で自由と冒険の精神を育んでいくこの物語は、フィンランドの風土やライフスタイルを学ぶための良きバイブルともなっています。
本展は、『ムーミン』の挿絵原画をはじめ、絵画、建築、工芸、デザインなど約350点の作品でフィンランドのライフスタイルを紹介する、これまでにない大規模な展覧会です。フィンランド人の心の原点である民族叙事詩『カレワラ』を題材に描いた画家アクセリ・ガレン=カレラや建築家エリエル・サーリネンの作品を通して、フィンランド近代芸術の根幹となる精神と風土を探ります。また、その基礎の上に花開いた国民的建築家・デザイナー、アルヴァ・アアルトの家具やカイ・フランクの食器、マリメッコ社のテキスタイルなど、「すべての人々にとって、あらゆる観点から良いデザイン」を追求し、今なお時代を超えて愛されるフィンランドのモダン・デザインの数々を紹介します。