水彩画は、明治時代に西洋画の一つとして本格的に日本に紹介された新しい表現方法です。その親しみやすさや画材の手軽さもあいまって広く普及しました。本展では、浅井忠、三宅克己、間部時雄など明治から大正にかけて活躍した画家たちの作品から、大正期の古賀春江、岸田劉生、村山槐多らによる個性的な水彩画、また昭和に入り、水彩画の革新をめざした中西利雄らの研究グループ『蒼原会』の一員であった岡田節男による新たな展開などを振り返ります。また、パウル・クレーやサム・フランシスら、海外の作家による水彩画を紹介しつつ、日本人作家とのかかわりにも注目します。水彩画の持つ軽やかさや透明感、にじみなどを生かした抽象的な表現、油彩画ともみまがう力強さなど、それぞれの画家が描いた水彩画の多様な魅力をお楽しみください。