平成23年1月にしもだて美術館企画展として開催した「筑西の美術2010―絵画展―」は、東日本大震災のため会期途中にして終了を余儀なくされましたが、この展覧会を契機として、出品作家が中心となり、昨年、待望の新たな筑西市の美術団体「筑西市美術家協会」が設立されました。筑西市は、江戸時代の俳人 与謝蕪村や、明治期の夭折の天才画家 青木繁らが滞在して創作活動を行った地であり、また、近代陶芸の巨匠 板谷波山と日本洋画壇を牽引し続けた洋画家 森田茂の二人の文化勲章受章者の故郷、そして、現在に至るまで多くの個性溢れる芸術家たちを輩出してきた文化的土壌を誇るまちです。同協会は、このような郷土の芸術文化的風土を担いながら、更に新しい種をまき、市民とともに育んでいくことを目的として設立されました。同協会の今後の活躍が期待されています。
今展は、この筑西市美術家協会の設立を記念して、しもだて美術館と同協会との共催により開催する展覧会です。展覧会場には、同協会会長であり、日展評議員ならびに東光会副理事長を務める油彩画家 飯泉俊夫氏の色彩感溢れる風景画の近作「ヴェニスの朝」(2011年)をはじめとして、一見シュールでありながら強いメッセージを内に秘めた油彩画家 舘野弘氏の「前線」(2011年)、画面中央を占める木の幹に街の風景が溶け合う水彩画家 岡野亮介氏の「Day」(2012年)などの他、日本画、水墨画、そして版画と、会員21名による51点の多彩な作品をご紹介いたします。
なお、会期中の毎週土曜日には作家によるギャラリートークを開催し、創作活動にまつわるお話を出品作家の方々にご披露いただきます。また、「夏休みの宿題お助け隊!」と題して、小中学生を対象としてワークショップ(要予約)も開催する予定です。
今回は特別に、5枚綴り回数券(1,500円)もご用意いたしております。夏休みのこの季節、作家と直接会える展覧会として、ご家族やグループで、あるいは、お一人で何度でも足をお運びいただき、多彩な作家たちによる、それぞれに個性溢れる作品の新たな一面を発見してみてはいかがでしょうか。