1953(昭和28)年8月、民間テレビ放送のスタートとともにテレビ・コマーシャルは誕生した。テレビからの膨大な情報は日本中の家庭に流れ、新しい娯楽に大人も子どもも夢中になった。テレビ・コマーシャルは当初こそ番組の間のおじゃまな存在であったが、やがて、音と動きと色彩を武器に、それまでにない新鮮な驚きとおもしろさに満ちた世界を生みだし見るものを魅了した。テレビという巨大なメディアに乗って高度成長期の日本社会に新しい息吹を吹き込み、企業の経済活動の枠を超えて、人々の楽しみを変え、美と感動を変え、生活行動を変え、生き方を変えていった。インターネット時代にあっても、楽しさ、驚き、ウイットに富んだユーモアで時代の気分を伝える、テレビ・コマーシャルのパワーは不変だ。