岡本太郎の作品には、犬や猫をはじめ、たくさんの動物たちが登場します。
数々のパブリックモニュメントを制作した岡本ですが、はじめて本格的に取り組んだのは1959年に長野県戸倉に設置されたコンクリート造の作品《動物》でした。小高い丘の上に立てられた高さ6mのこの作品は、犬とも猫とも何ともいえない「動物」そのもの。後ろ姿にも顔のあるあたりに、岡本のサービス精神が伺えます。また、岡本が自宅の庭に猛獣をうろうろさせたい、と制作した《犬の植木鉢》はユーモラスな表情がどことなく岡本に似ています。
ひとに媚びるペットを嫌い、独立した誇り高い自我をもつ動物たちに自らを重ねた岡本は、人に懐かないカラスの子を側におき、つかず離れずの距離感を愛おしみました。こうした周りの生きものたちは岡本が作品を生み出す源泉ともなりましたが、そこに描きだされた姿は岡本自身の自画像にも見えてきます。
絵画や彫刻にあらわれた、のびやかで楽しげな岡本太郎の「動物」をご覧ください。