「オプ・アート」は「オプティカル・アート(視覚の芸術)」の略称で、錯視効果をともなう幾何学的な抽象作品のことを指します。20世紀後半に誕生し、美術のみならす、デザインやファッション、音楽などさまざまな領域を巻き込みながら一大ブームを起こしました。色と形にまつわる理論と研究をもとに制作されたオプ・アート作品は、平面であるにもかかわらず三次元の立体のようにみえたり、静止しているのに揺れ動いているようにみえたり、絵具の彩色だけなのに光が明滅しているようにみえたりするなど、私たちの眼の中で、変幻自在にその姿をかえるのです。
この展覧会では、オプ・アートの誕生に大きな契機をもたらしたジョーゼフ・アルバースによる版画集《フォーミュレーション:アーティキュレーション》をはじまりに、ヴィクトル・ヴァザルリ、ヘスス・ラファエル・ソト、ヤーコブ・アガム、リチャード・アヌスキウィッツ、ブリジット・ライリーら代表的なオプ・アーティストによる絵画や立体、約80点をご紹介します。3D(スリーディー)やVR(バーチャルリアリティ)などデジタル技術を駆使したさまざまな映像が身近なものとなった今日、オプ・アートは私たちにあらためで新鮮な感動をとどけてくれるにちがいありません。