掛川ゆかりの彫刻家 水谷 靖の創作活動の歩みを紹介する。
袋井で生まれ、高等学校卒業まで掛川で過ごした水谷は、東京藝術大学で彫刻を学び現在大学で学生の指導にあたっている。はじめ現代彫刻を制作していた水谷だったが、15年前から面打師桑田能忍に弟子入りし面打を始める。
何の制約もない現代彫刻から、形・材料・大きさ・重さなど様々な制約がある能面に制作の主軸を移したのである。水谷は、「様々な制約があるからこそ、そこに無限の可能性が秘められている」と言う。能は、今から700年前の鎌倉時代後期から室町時代初期に完成され、現代に受け継がれている。現在使われている能面も、その原型は700年前に起源する。以来、名人と呼ばれた面打師によって、数々の名品がつくりだされ、今日に伝えられている。
歴史と伝統のある能面の世界に、新たな可能性を求めて挑戦を続ける水谷は、「修行を続けるなかで、ますます能面の奥の深さがわかってきた」と感じる。水谷の修行は続く。