平塚市制80周年を記念し、上村松園と鏑木清方という近代美人画の傑出した二巨匠の展覧会を開催いたします。上村松園(一八七五―一九四九)は京都画壇を代表する日本画家であり、主に江戸時代の風俗を題材に理想の女性像を追求し、女性として初の文化勲章を受章しました。鏑木清方(一八七八―一九七二)は一九二〇年より金沢八景に別荘を構え、戦後は鎌倉に居を定め「湘南に遊び、文人として描く」日本画家の先駆けとなりました。江戸情緒を懐かしむ多くの作品に定評がありますが、新たな時代の風俗や文学、季節感を表した近代作家としての側面も打ち出しています。そこで本展では、かたや京都、かたや東京でほぼ同時代に活躍した美人画家の初期から晩年にいたる美人画を一堂に展示し、それぞれの作風や女性表現に際立つ特長と、時代や風俗を表す共通性を浮き彫りにしていきます。