石井誠は日々、新たな生を享ける。死、生を一日の内に完結する。石井の作品はその日々の「生」の刻印である。書を超え、芸術を超え、むき出しの命の滴りが石井の書である。命は血と知が複雑に絡みあって支える。白と黒(墨)の表現を選び取ったのは必然である。その葛藤が「生」は「生」たりえるかと問いかける。石井の存在を賭けた問いの鋭い剣先は私たちをラディカルに刺し貫く。本展の準備を終えた石井は「制作を終えた瞬間、なにか命を出し切った感があった。心が晴天のように、澄みきったように思えた。これでもかこれでもかと…まえにまえにまえに」と語る。 島田 誠