中国・上海市の南郊外に位置する金山区は、「農民画の郷」として広く知られています。農民画とは、実際の農民が農村の日常や風景を描いたもので、中国各地に存在しますが(その数約60とも言われています)、発祥の地とされている陜西戸県と、上海金山のものが特に有名です。
古くは、1958年からの大躍進時代、農業を奨励し豊作を推進するための宣伝画として作業の傍らに描かれてきたものが始まりとされ、その後の文化大革命以後、美術指導者が農村に入ったことで大きく発展しました。
現在、多くの観光客が訪れる金山の農民画村のアトリエで、農民画が日々制作されています。今展は、1994年に中日友好協会の招きで、原田泰治が現地を訪れた折に生まれた交流をきっかけに、当館での開催が実現しました。農村の日常の生活や家畜との触れあいなど、素朴なテーマを大胆な構図と鮮やかな色彩で描いた作品の数々。厳しい農村での生活に夢と希望をもたらした美しい農民画の世界をご紹介します。