サルバドール・ダリ(1904-1989)は、絵画や彫刻に止まらず、工芸、映画、舞台装置など幅広い分野の芸術に才能を発揮しました。その中でもダリが本領を発揮したのがファッション界との競演です。デザイナーやモデルたちと共に生み出した作品には斬新さは勿論、ダリ芸術がもつ‘古典’と‘前衛’の融合という個性が際立っています。本展では、当館所蔵のダリ作品と関連資料31点を4つのテーマで構成し、ファッションと芸術を一つにしたダリの功績を紹介します。テーマIの「アングルとダリ」では1971年に出版されたフランス版ヴォーグ誌の原画となったダリ絵画《大胆な試み》をとおして、ダリとアングルの関係、ダリの手掛けたヴォーグ誌のデザイン特集を紹介します。テーマⅡ「ダリと服飾」では、ダリの服飾美学が表現された絵画作品と、デザイナーのスキャパレリやエイドリアンとの共作を写真パネルにて紹介します。テーマⅢ「フォルムとセクシャリティ」では、ダリ作品に見る女性像の美とフォルムの関係を紹介します。テーマⅣ「ダリとインテリアファッション」では、ダリ劇場美術館のインスタレーション《メイ・ウエストの部屋》を再現、観覧者が実際に‘ダブルイメージ‘を体感できる特設コーナーとなります。また本展では当館の新収蔵作品、《アナ・マリア・ダリの肖像》が初公開となります。本作はダリが22歳の時に4歳年下の妹を幾何学的な表現で描いた作品で、青年ダリの個展カタログの表紙となった貴重な作品です。