デヴィッド・ボウイ、T.REXのマーク・ボラン、YMO、布袋寅泰をはじめとする国内外のミュージシャンから圧倒的な支持を受け、広告写真、テレビコマーシャル、映像作品など幅広いフィールドにおいて常に第一線で活躍し続ける写真家、鋤田正義(1938~)。デヴィッド・ボウイが冷戦下のベルリンで録音した名盤『LOW』に収録された「SOUND & VISION」を冠した本展は、1970年代から現在までボウイと深い信頼で結ばれてきた鋤田正義の全仕事を、300点以上の作品から俯瞰する回顧展です。
鋤田の作品は、高校生だった1956年頃に撮影した母親の写真から始まり、被写体はリー・モーガンなどのジャズ・ミュージシャン、寺山修司の天井桟敷など、ニューウェイヴのミュージシャンたちから現代の俳優やアーティストに至るまで多岐にわたり、撮影した場所も世界中の都市にまたがります。それはビートニクのような風貌をした鋤田の永遠に終わることのないロードムービーといえるかもしれません。常にカルチャーと並走し、自らシーンに入り込んで撮影された写真の数々。それらは時代の記録であるとともに、時代を超えるパワーと、ボウイが「SOUND & VISION」で示唆した“驚き”に満ちています。