今年は斬新な色と形を追求したカラリスト・福田平八郎(1892-1974)の生誕120年にあたります。この節目の年に、平八郎の画業を振り返るとともに、大正から昭和にかけて活躍した作家たちの「モダン」な作品を紹介いたします。
明治以降、日本画は伝統絵画としての一面を持ちつつ、洋画の影響を受けながら革新と変容をくり返してきました。特に1920年代前後、経済の繁栄と海外との交流により、大正デモクラシーと呼ばれる自由な雰囲気の中、おおらかな民衆文化が花開きました。そして昭和に入ると、新しい時代感覚を取り入れた、単純化された形と明快な色調の作品が見られるようになります。
本展では、代表作《漣(さざなみ)》★、《雨》☆を含む平八郎作品約20点と、同時代に活躍した画家たちのモダンで洗練された作品を展観します。デザイン的でリズミカルな落ち葉と写実的な筍の取り合わせが新鮮な平八郎《筍(たけのこ)》、爽やかな朝の風が竹林を吹き抜ける小野竹喬《晨朝(しんちょう)》、理知的な画面構成と明るい色調の山口蓬春《卓上》――いずれも日本画に新風を吹き込んだ作品です。新しい表現を模索した画家たちの創意工夫に満ちた作品の数々をご紹介いたします。