平松礼二(1941-)画伯は、日本画の革新を掲げた横山操に憧れ、高校在学中から川端龍子率いる青龍展に出品、龍子や横山操の薫陶を受けます。青龍社解散後は、創画会を経て無所属で作品を発表、1977(昭和52)年にはライフワークとなる「路」(みち)シリーズがスタートします。1984(昭和59)年には若手の日本画家らとともに会派を越え「横の会」を結成、その中心的作家として活躍します。その後はニューヨークのビル群、モネをはじめとするジャポニズムの研究を経て生まれた華麗な作品、日本画の原点である装飾性高いた作品と、時代ごとに様々な展開を見せますが、その根底には生涯のテーマとして制作し続ける「路」の精神と、日本を愛し、日本美を追求する一貫した姿勢と情熱を感じることができます。
本展では、箱根・芦ノ湖 成川美術館所蔵作品を中心に、ライフワークとなった「路」シリーズから印象派・ジャポニズムを経て装飾的やまと絵を現代に再構築した近年の作品、そして『文藝春秋』の表紙原画まで未公開作品を含むおよそ60点により、21世紀の巨匠・平松礼二の幻想的で華麗な世界を紹介します。