暁斎の忘れられた側面に、「挿絵画家」の仕事が挙げられるでしょう。
暁斎は、特に明治四年~十年にかけて、際立って多くの挿絵を手掛けています。しかも、「戯画が得意」とされる暁斎らし い戯作本だけでなく、啓蒙書や「地理」・「修身」等教科書の挿絵まで描いているのです。それらの挿絵を見ると、西洋の風俗や風物、建築を見事に描ききっており、いち早く欧風文物を取り入れた暁斎の柔軟さと、西洋画家にも引けをとらぬデッサン力とを知ることができます。
本展では、啓蒙書から戯作本まで、暁斎の挿絵を幅広く展示しましたので、ぜひ、その多種多様な表現をお楽しみ下さい。