東海道をテーマとした作品は古くから知られていますが、最も有名な作品は十返舎一九作の滑稽本『東海道中膝栗毛』です。作品は享和2年(1802)~文化11年(1814)まで出版されましたが、あまりの売れ行きに続編『続膝栗毛』が文化7年(1810)~文政5年(1822)まで出版されました。この作品に呼応して浮世絵師が様々な作品を制作しました。喜多川歌麿、歌川豊国、歌川豊広などや葛飾北斎は享和~文化年間までに約7種類の東海道シリーズを制作しています。その後歌川広重が天保4年頃に「東海道五拾三次之内」(一般に保永堂版東海道)を出板しベストセラーになり、後に広重は約20種類の東海道シリーズを制作しています。
今回は広重以外の絵師が描いた東海道シリーズを紹介します。葛飾北斎の(竪中判東海道)、「春興五十三駅之内」(横小判)、二代歌川広重の「東海道五拾三駅」、歌川国貞の「(美人東海道)などと広重の描いた東海道シリーズの違いを比較するのも面白い観察だと思います。それぞれの絵師が個性豊かに旅の道中を描いています。各絵師の描いた東海道シリーズをお楽しみください。