「記憶」を解体し「自分という存在への問い」をテーマとしてきた写真作家、糸井潤(1971- 小山市)。糸井は、自身と人種や民族という違いという観点も含めた他者の存在、プライベートとパブリック、国境、今と過去など、自身にまつわる様々な「境界線」についての作品を制作してきました。本展では、極夜や白夜といった多様な表情を見せるフィンランドに1年間滞在し、強烈な光と暗黒とした深い闇と向き合い、生と死という「狭間」について思考を巡らせた作品を発表します。展示室に展開するフィンランドと小山の森で撮影をした「Cantos Familia」は、3小節からなる家族との対話でもあります。また、僅かな光が差し込む肥料蔵では極夜を撮った「Kaamos」シリーズを展示します。本展は、糸井の作品をまとまって紹介する初の機会であります。ぜひ糸井の世界を堪能しにお越し下さい。