管楽器を吹くように、ひと吹きの息がガラスに様々な音色を響かせる増田洋美のガラスたちは草原を吹きわたる風のように、あるいは浜辺に打ち寄せる波のように、自然のリズムやメロディを三次元の楽曲として私たちに届けます。
1981(昭和56)年からガラスの制作を始め、2000(平成12)年には、長い歴史と伝統を持つヴェネツィアのムラノ島に制作拠点を移して制作を続ける増田洋美は、その地の職人とともに自由な表現方法で圧倒的な数の宙吹きガラスを制作し、従来の技法優先の工芸的なガラスの世界から、この素材が持つ新たな可能性を開放しました。
世界各地の遺跡や歴史的建造物の中にガラス作品を何百と並べて、空間を変貌させるインスタレーションは、海外でも高い評価を得ています。
本展は、酒田市美術館の館内外を中心に本間美術館、土門拳記念館といった変化に富んだ空間に、多様なインスタレーションが展開されます。
本市内の3館を展示空間とした初の試みとなる本展覧会を通して、古くて、新しい表現素材である「ガラス」の可能性とその美しい造形美をこの機会にぜひご覧ください。