現代美術家「椿 昇」(つばき・のぼる)の九州初の個展を開催します。椿昇は、2001年の横浜トリエンナーレで発表した全長50メートルの巨大なバッタやイラク戦争開戦直後に水戸芸術館で開催した2003年の個展「国連少年展」など、美術と社会の関係を問い直し、常にエッジの聞いた刺激的な作品を発表し続けています。また、近年は、瀬戸内芸術祭の「高松うみあかりプロジェクト」(2010年)など、地域社会でのアートプロジェクトにも数多く参加しています。
椿は、個人的な問題として物事の根源的な部分にまで立ち返り、様々なテクノロジーを活用しながら、巨大なものやアニメ的でポップな作品としてインパクトの強い作品を発表してきました。それらの作品は、単にテーマを直接的に表現したものではなく、作品自体がメディアとなって鑑賞者へ考えを促すものとなっています。
本展は、「アゲインスト・ネイチャー」(1989年アメリカ・名古屋)で発表され大きな話題となった[フレッシュ・ガソリン]と対をなす[エステティック・ポリューション]、1997年に発表した幻の作品[メタポリス]を起点に、原初的なエネルギーを視覚化するドローイングやマケットを含む巨大な作品が発表されます。椿のこれまでのポリティカルでメッセージ性の強い作品からは予想もつかない、根源的なエネルギーそのものを扱う展覧会となります。
霧島の地で展開する椿昇の新たな世界に触れ、思いを巡らせてみてください。