木彫の人物像によって知られる舟越桂(ふなこし・かつら1951年生)は、現代日本を代表する彫刻家として国内外で活躍しています。作品は本の装画や美術の教科書でも紹介され、多くの人を魅了してきましたが、舟越桂がこれまで80余点にのぼる版画作品を手がけてきたことはあまり知られていません。
舟越桂は、イギリス滞在中の1987年に小さな銅版画を制作したことをきっかけに、1990年から近年まで継続的に版画制作に取り組んできました。彫刻家の素描やその延長線上にある版画作品は、彫刻制作のための下絵として見られがちですが、舟越桂は版画を彫刻と同様に重要なものととらえています。銅版画、リトグラフなど様々な版画技法により表現された人物像は、静かな存在感にあふれています。
本展では、初期の銅版画から近年までの代表的作品38点をご紹介します。