本展は、名作「ごんぎつね」の作者として知られ、来年生誕100年を迎える児童文学者、新美南吉の生涯と文学世界を、豊富な資料と多彩な挿絵原画を通してご紹介するものです。
新美南吉は、大正2年(1913)、愛知県知多郡半田町(現・半田市)に生まれました。4歳で母を失うなど寂しい幼少期を送り、病弱な身体を抱えながら、郷土色豊かで物語性に満ちた童話を100編以上書いています。昭和18年(1943)、結核により弱冠29歳で世を去りますが、戦後、「ごんぎつね」がすべての国語教科書に採用され、「でんでんむしのかなしみ」が国際児童図書評議会における皇后陛下のご講演でとりあげられるなど、現在では、宮沢賢治と並ぶ国民的童話作家として不動の評価を与えられています。
その生誕100年を記念する本展では、本人手製の陶製カップや恋人の写真など、新美南吉記念館以外では初展示となる資料が多数公開されます。また、第一童話集『おぢいさんのランプ』を担当した棟方志功や、現代日本を代表する絵本画家11人による挿絵原画も一堂に展示いたします。哀しみと愛を描いた作家、新美南吉の世界をどうぞ、存分にお楽しみください。