淺井裕介は、土、石、水、木の根、木の枝、テープに小麦粉、駅に積った埃など通常は画材とは思われないようなものを素材として、様々な場所に絵を描きます。近年では、道路の白線やカッティングシートの切り文字なども用いて絵を描いています。淺井は、「描く素材、場所は様々だけど今ここというその場所に色・形を乗っけるような気持ちで、これからも壁に描き、紙に描き、地面に描き、天井にも描き続ける」と言います。
今回は、4月初旬から1ヶ月間青森に滞在し、国際芸術センター青森周辺、浅虫温泉、夏泊半島など青森各地で採取した土を主に用い、2月にインドで描き上げた「八百万の物語」という同名の作品を解体再構成し、それを継承するかたちで全く新しい作品をこの地に描きます。ここにはひとつの大きな物語ではなく、無数の小さな八百万の物語が存在します。本展は、淺井のこれまでの活動を総括するように、その多彩な作品を公開します。
メイン会場となるACACギャラリーは、会期中淺井のアトリエとしても機能します。展覧会では絵を鑑賞するだけでなく、画家のアトリエを訪問するように絵が描かれる現場をご体験ください。