フランシス・ベーコン(1909-1992)はアイルランドのダブリンに生まれ、英国のロンドンを拠点に活躍した世界的な画家です。同姓同名の哲学者の、傍系の子孫とも言われています。
ベーコンの作品の特徴をよく言い表しているのが、彼の次の言葉です。「アーティストは、感情のバルブのロックを外すことができるんだ。そうやって、絵を眺めている人たちを、無理矢理にでも生(life)に立ち戻らせることができるんだよ。」
見る人の、いつもは閉じている「感情のバルブ」を開ける絵。本当の「生」を感じさせてくれる絵。その言葉が本当だからこそ、プラドやメトロポリタンなど、世界の名だたる美術館が、こぞって彼の展覧会を企画してきたわけです。しかしながら日本では、1983年の当館他での個展以来、30年間にわたり大規模な展覧会は開催されてきませんでした。
今回の展覧会は、1940年代から亡くなる直前までの作品、30数点によって構成されています。
ほとんどが代表作で、三幅対(3枚で1組の作品)は大きなサイズが4点、小さなサイズが2点も展示されます。「スフィンクス」のシリーズが4点も集まるのは世界初ですし、ベーコン好きには見逃せない「教皇」も複数出品されます。しかも、単なる回顧展ではなく、「身体」に着目したテーマ展でもあります。
ベーコンが、身体表現に関心を持つ者に対して影響を与え続けていることも見逃せません。
本展では、土方巽とウィリアム・フォーサイスという、洋の東西を代表する振付家のダンスを紹介する映像も上映いたします。