武蔵野美術大学 美術館・図書館では昨年のリニューアル開館を機に「ムサビのデザイン」展を開催しました。その第二弾となる今回は、当館の美術館から図書館にまたがって位置する4つの展示室を結んで、1950年代から70年代に焦点を当てます。
・展示室4・5では、グラフィックデザイン領域から、当時のグラフィックデザイン界を象徴する存在であり、若いデザイナーがこぞって挑んだ「日宣美」展と、1965年に若手の気鋭デザイナー11名のメンバーが結集し開催され、いまもエポックとして語り継がれている「ペルソナ」展を取り上げます。デザインの社会的位置づけが今とはちがう時代にそれぞれの会場に並んだポスターをはじめとする作品には、自らの表現で時代を切り開こうとするエネルギーと才能が凝縮されています。
・椅子ギャラリーでは、当館のプロダクトデザインコレクションの中から、50年代から70年代に日本をはじめ世界各地で誕生した椅子50脚を紹介します。新素材や新技術の開発により、それまでと全く考え方の異なるデザインが登場するのもこの時代です。
・図書館展示室では、当時のデザインの動向を最も的確にいまに伝え、かつ同時代のクリエイターにとって重要な作品発表の場であった雑誌を紹介します。この時代のクリエイターたちが手に取り、それぞれの創造活動に少なからず影響を与えた国内外のデザイン雑誌、建築雑誌、サブカルチャー雑誌、ファッション雑誌および企業PR誌等、80誌余りを一堂に集めます。
この時代、わが国においてデザインは人々に認知され、急速に隆盛していくなかでダイナミックに変化を遂げました。本展では、ポスター、椅子、雑誌という時代を色濃く反映するメディアを通して当時を見つめ直し、新しいクリエイションとデザイン界を取り巻く社会背景や本学のデザイン教育との関わりについて「ムサビの力」を再発見する展覧会となります。