■わたしたちの時代に生まれたアートを、もっと楽しむための展覧会。
思い返せば20世紀は、同時代の美術である「現代美術」を専門とする美術館やギャラリーが各地でつくられ、アーティストがキラ星のごとく登場し、活躍してきた時代でした。これほどまでに同時代の美術が社会的にも大きな存在となったのは、いまだかつてなかったのではないでしょうか。21世紀の今日においても、ますます「現代美術」を扱う展覧会の数は増え、ほんのひと昔前につくられた作品の値段が高騰してはニュースになり、さらには過疎化が進む地方を盛り上げるため「現代美術」のアート・フェスティバルが世界中で開催されるなど、「現代美術」が社会に与える影響、その担う役割、そしてそれに対する期待は増すばかりです。
しかし一方で、そんな「現代美術」に対するこんな声もよく耳にします――「現代美術は意味がわからない」「難解だ」「つまらない」。もちろんこのような意見もすべて否定は出来ませんが、はたして本当にそれだけでしょうか。否、そうではないでしょう、もしそうだとしたら、ここまで「現代美術」が多くの役割を担い、注目を浴びることなどなかったでしょうから。しかし「現代美術」が、よく知られる古典的な泰西名画と鑑賞の仕方が異なり、また何を表現しているのか一見しただけでは分かりにくく、その結果近づきにくくなっている点も否めません。けれども、現代美術は本当はとても面白いもののはず。それをわかってもらう方法はないのか、色々と私たちは考えました。
そこで当館では、「現代美術」のポイントをわかりやすく示し、どのように作品を鑑賞したらその魅力をいっそう味わうことができるのか、そこに念頭を置いた展覧会を高松市立美術館の特別協力のもとに企画しました。日本で屈指の20世紀美術のコレクションを有する同館の所蔵品を中心にした本展は、これまで「現代美術」が苦手だった人もその魅力に気付き、さらにすでに興味のあった人にはいっそう楽しんでもらえる機会になるはずです。また、その魅力をあますことなく紹介するため、作家や美術関係者などによるイベントも数多く企画しています。今まさに生まれる表現を体験し、同時代を生きる作家や関係者の声を聴けるのも、「現代美術」の醍醐味の一つ。私たちが生きるこの時代に、生まれるべくして生まれた素晴らしい「現代美術」の数々を是非体験しに来てください。