「アール・ブリュット」とは、20世紀のフランスの美術家、ジャン・デュビュッフェによって生み出された言葉。「生(き)の芸術」を意味するこの言葉は、美術の専門的な教育を受けず、既存の芸術や流行にとらわれない作家たちの自由で伸びやかな表現をさすものです。強烈な色彩の重なり、点と線の密集。私たちの常識をくつがえすようなその表現は、作り手の人生に密着し、その心の内側から生まれるため、非常に個人的でありながら普遍的。文化の違いを越え、観る人の心をとらえずにはおきません。
本展は、2010年3月から翌年の1月まで、パリ市立アル・サン・ピエール美術館で開催され、大好評を博した「ART BRUT JAPONAIS」展の日本凱旋展覧会です。岩手県生まれの9名を含む、63名の作家たちが創リだす自由な発想と創るよろこびに充ちた作品の数々は、私たちに新しいものの見方を提示し、人間の根源的な創造性について考えさせてくれるでしょう。
ぜひこの機会に、個性豊かな作家たちの語る63話の物語に耳を傾けてください。