池大雅(1723-1776)は、日本における文人画の大成者として、現代でも与謝蕪村とともに広く知られています。「洞庭赤壁図」(明和8[1771]年制作、重要文化財)は、大雅の代表作の一つにも数えられる、特に評価の高い貴重な作品です。
一般に大雅の画風は、伝記に記される彼の性格に似て大胆でおおらかなものですが、「洞庭赤壁図」では細密な描写の上に朱・緑青・群青といった鮮やかな絵の具と金泥による彩色が施されています。これは、金碧画法という中国の画法をとりいれたもので、約3メートルにもわたり濃密に描かれた赤褐色の断崖と広大な湖の光景はまさに圧巻です。
この「洞庭赤壁図」は通常の大雅作品とは異なり、濃彩で細密に描かれています。「洞庭赤壁図」をご覧いただくことで、洒脱な味わいの作品ばかりでなく本作のように緊張感あふれる作品をも手掛けることができた大雅の画力を知ることができるでしょう。
その他に勝川春章「初午図」、上柿芳龍「羽祢津久美人」をはじめとした初春を寿ぐ肉筆浮世絵や、鮮やかな色彩で気品ある聖徳太子の姿を描いた小林古径「上宮太子」、伊東深水「吹雪」などの日本画、ジャン=フランソワ・ミレーの繊細なパステル画「田園に沈む夕陽」、ベルナール・ビュフェ「二羽の鳥(つる)」など大谷コレクションの名品を展示いたします。
正月三が日はホテル内でもさまざまなイベントを企画しておりますので、美術鑑賞とあわせて新春の賑わいをお楽しみください。