日本でポスターが作られはじめた明治期から、女性の姿をあしらった美人画ポスターは日常の風景に華を添えてきました。美しい衣装を身につけた人気の女優や令嬢がモデルとして起用されているものが多く、中には著名な画家が原画を手がけたものもあり、当時の人々の関心の高さがうかがえます。高度な印刷技術で色彩豊かに刷り上げられたポスターは、単に広告としての役目を果たすだけでなく、芸術作品として鑑賞され蒐集される対象でもありました。
本展は、飲料メーカーのポスターを中心に500点を超える作品を所蔵するサカツ・コレクションの中から、精選した約90点を公開する初めての展覧会です。大広告主として存在した飲料メーカーのポスターには女性が主題となっているものが多く、そこには憧れの女性像や当時の流行、社会情勢をも読み取ることができます。同時に、当館が所蔵する足利銘仙のポスターやその原画、さらに足利とゆかりの深い作家の作品も展示します。今日でも色褪せない、懐かしくも新鮮な美人画ポスターの魅力をご堪能ください。