平成21年度岡山県文化奨励賞を受賞するなど多彩な活動を見せる新見市指定重要無形文化財保持者・川野正毅氏は、昭和16(1941)年新見市井倉に生まれました。子どもの頃から手先が器用で木工芸に興味を持つようになり、昭和52(1977)年木工芸家・森田翠玉(岡山県重要無形文化財保持者)氏に師事します。昭和56(1981)年には岡山県美術展覧会に初出品し初人選、以後連続人選・入賞を重ね、地域奨励賞や山陽新聞社大賞を受賞するなど頭角を現します。平成2(1990)年にはそれまで勤めていた会社を辞め、本格的に木工芸の道に進みます。そののちは、日本伝統工芸展での日本工芸会奨励賞をはじめ同中国支部展では日本工芸会奨励賞や金重陶陽賞に輝くなど注目されます。平成4(1992)年日本工芸会正会員となり、平成10(1998)年新見市指定重要無形文化財保持者に、その後日本伝統工芸中国支部展や岡山県展の審査員を務めるなど、岡山を代表する木工芸家として広く知られるようになりました。また、備中漆の普及や後進の指導・育成にも尽力し、平成21年度には、岡山県文化奨励賞を受賞しています。刳物(くりもの)の中でも甲盛りの箱を得意とし、現代感覚にあふれた優美なフォルムと、木の持つ美しさ温かさを生かした気品漂う作品は高く評価されています。
本展では、35年にわたる創作活動の中から、日本伝統工芸展や同中国支部展での受賞作品、人選作品を中心に約60点を紹介します。