土門拳賞は、毎日新聞社が、創刊110年記念事業として昭和56年に制定した賞で、最もすぐれた写真を発表し成果をあげたとされる写真家が、1年に1人選考されます。
21世紀の初年である20回目の今回は、大石芳野さんの『ベトナム凛(りん)と』が受賞いたしました。受賞作は、ベトナム戦争(1960~1975)の後、そこに暮らす市井の人々を被写体1981年から20年間にわたって撮り続けたドキュメントです。
戦争孤児や枯葉剤の被害、夫や息子をなくした女性の悲しみと怒り、そうした戦争の傷が生々しく残るベトナムで、それでも人々は凛とした顔で、前向きに生き生きと生きています。「飽食、使い捨て、ブランド嗜好…豊かなはずの私たち日本人はこれでいいのか」この作品群から、こうした問いかけが聞こえてくるようです。