戦乱の時代を生きた武将たちが生き残っていくためには、時代の流れをつかみ、状況判断力や機敏さが求められました。そのような武将たちの書状(手紙)には、自分たちの一族や領地を、命をかけて守り抜くという切実な願いが込められていたことでしょう。
本間美術館には、平安時代末期から戦国時代末期にかけて信濃国(長野県)の豪族市河氏に伝わった「市河文書」(重要文化財)をはじめ、南北朝時代から室町時代にかけて越後国(新潟県)の土豪穴沢氏に伝わった「穴沢文書」(重要美術品)、天文~天正年間(1532~88)の庄内の動向や越後との関係を知る上では欠かせない「奥羽古文書」(酒田市指定文化財)などの武家文書があります。
本展では、当館所蔵のすべての武家文書を紹介することはできませんが、平安時代末期から江戸時代初期までに活躍した代表的な武将たちの書状を中心に紹介します。戦乱の時代を生きた武将たちの書状に込められた願いを感じ取っていただければと思います。