高岡市生まれの彼谷芳水(1899-1994)は三代目石井勇助に師事して多彩な漆芸の技を身につけ、自由自在な表現を特色とする「勇助塗」を現代に引き継ぎました。戦後は日展を中心に活躍、昭和39年(1964)年には富山県指定無形文化財保持者に認定されています。
本展では、当館の所蔵品とあわせ、ご遺族のもとに残された作品や下図、資料などを展示します。これらのなかには、これまであまり紹介されなかった戦前の活動を示す資料など、貴重なものが含まれています。確かな技を受け継ぐとともに、修行時代には日本画家の中島秋圃(1878-1961)に絵画を学ぶなど、表現力の向上には努力を惜しまなかった作家の、60年余りに及ぶ創作の世界を振り返ります。