森村泰昌(もりむらやすまさ/1951年生まれ)は、ゴッホの名画やマリリン・モンローなどの女優になりきった姿を大型写真で発表する「セルフポートレイト(自画像)」の手法で知られる日本を代表する美術家です。1988年のベネチア・ビエンナーレへの出展以降、国内外で高い評価を受けて活躍しています。そんな森村も、最初から美術家として完成していたわけではありません。高校生の頃から、画集などで新しい表現に出会うと、その画風や制作思想を「まねた」作品をつくり、「まねる」ことから「まなぶ」若者でした。そしてそのことが、現在の“モリムラ”を築き上げる基礎となっていったのです。
本展では、高松市美術館の所蔵品を中心として、若き日に影響を受けた岡本太郎、赤瀬川原平など日本の現代美術史を代表する作家に加え、クレー、デュシャン、ウォーホルやジャスパー・ジョーンズなど西洋美術史を彩る作家たちによる作品と、そのスタイルを真似て森村自身が制作した絵画や素描、写真、立体作品などを一対で見比べられるよう展示し、一人の青年が美術を志し、美術家として確立するまでの道のりを辿りながら、現代の美術の歴史も楽しんでいただきます。世界と日本の「美術史」と、森村による「私(わたくし)美術史」が交差する、あらたな視点からの美術史入門、それがモリエンナーレです。