日本の現代美術界をリードする3名の作家、今村 源・袴田京太朗・東島 毅による大規模なジャム・セッション展を開催します。
平面作品でありながら、尋常ではない重量感。東島毅は、筆致の交錯、色彩の堆積といった抽象絵画の豊かさに加え、圧倒的かつ制御不能な時空間をも創り出すモンスター・ペインターです。ブラックホールのごとく、何もかもを丸ごと引きずり込んで身体感覚を覆い尽くす巨大絵画や、濃厚な色彩を重ねたドローイング、天を仰ぎ風雨も受け容れるダイナミックな屋外での絵画展示などを持ちこみ、私たちを「空の状態」へと導きます。
まっさかさまにダイブする人、浮遊するキノコや増殖する菌糸など。線材を多用したユーモラスな造形やインスタレーションを手掛ける今村源は、夢幻のような無重力感の中でこの世の生死を問いかけます。キノコ性と私性とを往還しながら日々制作するという今村は、目に見えない地下世界に張り巡らす菌糸をなぞるかのように、東島たちの作品に絡みつき、大きな連続性で連結させて、不規則に曲がった線を室内外へとのばしていきます。
機能、理由、偶然、不条理、日常、つくる、汚れる...。袴田京太朗は、同時多発的にこれらを駆使して自らの価値観を明るく壊し、彫刻のリアリティを追求し続けています。通常は彫刻にならないような既製品や骨董オブジェを用いて、その一部を切り出し、カラフルなアクリル板などの異素材に接合させる複製シリーズの数々を配しながら、東島と今村、そしてギャラリーという、それぞれのリアルな重力に立ち向かう彫刻で、見る者に揺さぶりを掛けます。
本展は、キュレーションや評論も積極的に手掛ける袴田京太朗の提案により、重力感の異なる3作家をるつぼの中で大胆にも混ぜ合う企画としてスタートしました。ギャラリーの3つの展示空間と中庭を用いて、3作家は各々の自己を起点に棲み分けしつつも、互いに好んで侵蝕しあう展示プランを構想。しかし混ざり合わんとも拮抗して...!? はじまりもおわりもなく、作品同士が、各々の過去・現在・未来の時間までを侵蝕し合います。
展覧会のオープンまで、彼らのプランニング・パスは投げ続けられ、各々の思惑は溶け流れていき、一体どんなハプニングが起こるのか計り知れません。それぞれの表現と重力(リアル)が往還し、超然と自立した心地よいカオスをぜひご高覧ください。