20世紀を代表する芸術家,ジョアン・ミロ(1893-1983)は,ピカソ,ダリと並ぶスペインの巨匠です。バルセロナに生まれたミロは,ピカソらと交友を結び,フォーブ,ダダなどの新しい芸術に影響を受けてシュールレアリスト運動に参加します。故郷カタルーニャの自然と大地を愛し,太陽,月,星,鳥などをモチーフとして,それらを大胆に抽象化しながらも,素朴で喜びに満ちた,鮮やかな色と形の詩的世界を作り出しました。
ミロは油彩画のほか,版画,彫刻,陶器,タペストリー,舞台装飾など様々なジャンルを制作しましたが,ライフワークともなった版画は35歳になって初めて手掛け,以後生涯を通じて精力的に取り組みました。その技法は多岐にわたり,複数の版画技法を組み合わせるなど,それまでにない新たな創造を目指し,2500点を超える作品を残しています。
この展覧会では,ミロ第1作目の作品『一羽の小さなカササギがいた』を含む初期から晩年までの版画145点を一堂に展示し,その豊かな創造性を紹介します。