2012年の夢二郷土美術館は、「もっと知りたい竹久夢二」と題し、竹久夢二(1884(明治17)~1934(昭和9))の生涯を「明治」「大正」「昭和」の3期に分け、その全てをご紹介する企画展を開催します。
この企画は、写真や資料、また夢二の身近にいた人々の言葉などを交えながら「明治」「大正」「昭和」それぞれに特色ある夢二の仕事に迫り、ひいては夢二の全て――その多彩な魅力を知って頂くことを目指しています。
夢二にとっての明治~大正初期とは
それは出発の時代であり、最も意欲に燃えた時代でもありました。明治34年(1901)18歳で上京し、明治38年(1905)、雑誌『中学世界』に投稿した《筒井筒》が入選したことをきっかけに、画家としての道を歩み始めます。身近なものごとのスケッチを基に心情を託して描いた挿絵やコマ絵から、自分と身近なところにある夢二の姿を感じた読者の共感を得て、名を知られるようになりました。
そして明治42年(1909)に出版した最初の著作『夢二画集 春の巻』が大ヒット、人気を確たるものとします。印刷物を通して世に知られた夢二は、続いて大正元年(1912)、初めての個展「第一回夢二作品展覧会」で肉筆作品を発表します。そして大正3年(1914)には生涯抱き続けた「生活美術」という考えを初めて実現した「港屋絵草紙店」を開店させました。
スケッチに明け暮れ、庶民の暮らしを見つめたこの時代に夢二の全ての原点があり、新進作家としての意欲にあふれた筆致を見ることができます。
夢二を“一(イチ)”から知る
今回は作品に加え、明治40年(1907)に結婚した妻・たまきをモデルに生まれたとされる「夢二式美人」などのキーワードについて、そのなりたちや特徴を読み解くコーナーを設け、夢二芸術を改めておさらいします。また、会期中は随時スタッフが解説を務め、皆様の「もっと知りたい」に応えます。
夢二と初めて出会う方はもちろん、すでに夢二ファンの方にも、夢二を「もっと」知って頂ける機会となるように、私たちも夢二に広く深い目を向けてゆきます。